「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」「やる気はあるのに、なかなか行動に移せない」── そんなふうに感じたことはありませんか。
大学生活や専門学校生活、あるいは社会人として歩み始めたばかりの20代は、理想と現実のギャップに悩みやすい時期です。自分を変えたい気持ちは本物なのに、気がつけば元のパターンに戻ってしまう。その繰り返しに疲れている方も多いのではないでしょうか。
じつは、この「変わりたいのに変われない」という現象には、明確な理由があります。それが、私たちの心の奥にある潜在意識の働きです。
じぶんみらいスタジオでは、メタ認知(自分の思考や感情を客観的に観察する力)を出発点に、認知行動療法の考え方を取り入れたプログラムを提供しています。その土台となる「自分の心の仕組みを知る」というステップにおいて、潜在意識の特性を理解することはとても大切です。
今回は、潜在意識のメカニズムをわかりやすく実践的に教えてくれるセラピスト・石井裕之さんの著書を手がかりに、潜在意識の特性と、それを味方につけて自分らしい人生を切り拓くためのヒントをお伝えします。
潜在意識には「現状維持メカニズム」がある
潜在意識について最初に知っておいてほしいのは、潜在意識は「変化」を嫌うということです。
石井裕之さんは著書『「心のブレーキ」の外し方』(フォレスト出版)の中で、この性質を「心のブレーキ」と表現しています。私たちが頭で「変わろう」と決意しても、潜在意識は今の自分を維持しようとする力を発揮します。ダイエットが続かないのも、新しい習慣が三日坊主で終わるのも、意志の弱さではなく、この現状維持の仕組みが働いているからです。
ここで大切なのは、潜在意識のこの性質は「敵」ではないということ。潜在意識は、あなたを危険から守ろうとしているだけなのです。変化=未知の領域は、潜在意識にとっては「リスク」に映ります。だからこそブレーキを踏む。この仕組みを理解するだけでも、自分を責めることが減り、もっと穏やかに自分と向き合えるようになります。
では、どうすればこのブレーキとうまく付き合えるのか。石井さんが強調するのは、**「最初の一歩は、できるだけ丁寧にゆっくりとやる」**ということです。高い目標を一気に目指すのではなく、潜在意識が警戒しない程度の小さな一歩から始める。車も、止まった状態から動き出すときに最も大きなエネルギーが必要です。心も同じで、最初の一歩にこそ最も注意を払う必要があるのです。
これはメタ認知の観点からも理にかなっています。「なぜ自分はいつも途中で止まってしまうのだろう」と自分の思考パターンを客観的に観察できたとき、「ああ、潜在意識のブレーキが働いているのだな」と理解できる。その「気づき」があるだけで、自分との付き合い方は大きく変わります。
潜在意識は「否定形」を理解できない
もう一つ、ぜひ知っておいてほしい潜在意識の特性があります。
石井さんの著書『ダメな自分を救う本』(祥伝社)では、潜在意識には「ないもの」を理解する力がないという点が詳しく解説されています。
たとえば「失敗したくない」と思えば思うほど、潜在意識は「失敗」というイメージを受け取ってしまいます。野球で「三振だけはしてはいけない」と考えると、潜在意識に三振のイメージが刻まれ、身体がそちらに引っ張られてしまう。これは日常のあらゆる場面で起こっていることです。
だからこそ、自分に語りかける言葉を「~しない」ではなく「~する」に変えることが有効です。「不安にならないように」ではなく「落ち着いて取り組もう」。「遅刻しないように」ではなく「余裕を持って出よう」。言葉の選び方一つで、潜在意識に届くメッセージはまったく変わります。
この本ではさらに、行動こそが潜在意識にとって最強の「暗示」であるという考え方が紹介されています。頭の中で考えるだけではなく、どんなに小さなことでも実際に身体を動かして行動に移す。そうすることで、潜在意識は「自分はこちらの方向に進みたいのだな」と理解し、味方になってくれるのです。
認知行動療法の考え方にも通じる視点です。思考のクセに気づき(メタ認知)、それを修正し(認知の再構成)、実際の行動を変えていく(行動実験)。石井さんが語る「行動が潜在意識を変える」というメッセージは、この流れと深くつながっています。
「心のDNA」── 潜在意識の中にある人生の設計図
潜在意識のブレーキの外し方がわかったところで、次に考えたいのが「では、何に向かって進むのか」ということです。
石井さんは『「心のDNA」の育て方』(フォレスト出版)の中で、潜在意識を導く「人生の設計図」のようなものがあると述べています。生物のDNAが身体の設計図であるように、心のDNAはあなたの行動や選択の土台を形作っている。そしてこの心のDNAは、育てることができるというのです。
ここで興味深いのは、「小さな目標を達成する」ことの積み重ねが、心のDNAを書き換えていくという視点です。大きな夢を掲げることよりも、今日できることを一つ一つ丁寧にやり遂げる。その過程で、自分への信頼が少しずつ育っていく。そしてその信頼こそが、潜在意識にとっての新しい「設計図」になっていくのです。
じぶんみらいスタジオのプログラムでも、この「小さな積み重ね」を大切にしています。一足飛びに理想の自分になるのではなく、段階を経て着実に歩んでいく。その過程にこそ、自分らしさが育まれると考えています。
「幸せ」を目標にしない生き方
最後にご紹介したいのが、石井さんの著書の中でも少し毛色の異なる一冊、『大切なキミに贈る本』(祥伝社)です。
この本は、テクニックやメソッドを教える本ではありません。写真と言葉で構成された、いわば「読むセラピー」とも言える一冊です。不満があるとき、目標を見失ったとき、怖くなってしまったとき── そんな場面ごとに、セラピストとしての経験から紡がれた言葉が静かに語りかけてきます。
中でも印象的なのは、**「幸せを目標にすべきではない」**という考え方です。「幸せにならなければ」という思いが、かえって自分を追い詰めてしまうことがある。良い日もあれば悪い日もある。それでも、自分だけの一日一日を精一杯に生きればいい── この視点は、目標達成や自己成長の話とは異なるレイヤーで、私たちの心を支えてくれます。
潜在意識の仕組みを学び、メタ認知の力で自分を客観視し、認知行動療法の考え方で思考のクセを整えていく。そうしたプロセスの中で、ふと立ち止まりたくなったときに、この本は静かに寄り添ってくれるはずです。
まとめ ── 潜在意識を知ることは、自分を知ること
今回ご紹介した4冊を通じて見えてくるのは、潜在意識の特性を理解することが、そのまま「自分を深く知ること」につながるということです。
- 潜在意識は変化を嫌う → だから小さな一歩から始める
- 潜在意識は否定形が理解できない → だから肯定的な言葉を使う
- 行動は潜在意識にとって最強の暗示 → だから「考える」だけで終わらせない
- 心のDNAは育てられる → だから今日できることを丁寧にやる
これらは特別な能力がなくても、今日から実践できることばかりです。
じぶんみらいスタジオは、こうした心の仕組みへの理解をベースに、大学生・専門学校生・20代の皆さんが「自分らしく生きる力」を育んでいく場です。メタ認知と認知行動療法の考え方を軸に、東洋の知恵も織り交ぜながら、あなたのペースで歩んでいける環境を用意しています。
まずは潜在意識という「もうひとりの自分」の存在を知ることから。それが、自分らしい人生を切り拓く最初の一歩になるかもしれません。
【今回ご紹介した本】
『「心のブレーキ」の外し方』 石井裕之 著(フォレスト出版) 潜在意識の「現状維持メカニズム」の正体と、それを穏やかに外していく7つの心理セラピーを紹介。累計70万部突破のベストセラー。
『「心のDNA」の育て方』 石井裕之 著(フォレスト出版) 潜在意識を導く「人生の設計図」を書き換え、育てていくための実践書。前作の姉妹編として、モチベーションの本質に迫る。
『ダメな自分を救う本』 石井裕之 著(祥伝社) 潜在意識を味方につけるアファメーション・テクニックを21の実践法とともに解説。自分に自信が持てない方への入門書。
『大切なキミに贈る本』 石井裕之 著(祥伝社) 写真と言葉で構成された「読むセラピー」。幸せとは何かを静かに問いかけるフォトメッセージブック。
Amazonのアソシエイトとして、じぶんみらいスタジオは適格販売により収入を得ています。
